代表理事挨拶

一般社団法人 建築物石綿含有建材調査者協会
代表理事 貴田晶子

国土交通省は「建築物石綿含有建材調査者登録規定」(告示第748号、平成25年7月30日)を定め、登録機関の講習を修了した者に資格を与える制度を新設しました。日本環境衛生センターが登録機関となり、平成25年11月から講習が始まり、平成28年1月には、すべての都道府県で修了者(「石綿含有建材調査者」)が存在することとなりました。国は建築物の石綿調査を支援するために自治体を通じて財政支援をしていますが、平成28年4月から社会資本整備資本交付金による自治体の調査および除去に関する補助対象事業では石綿含有建材調査者を要件化しました。 一方で建築物の解体工事においては、依然として石綿飛散の事故が起こっており、一つの原因として「正しい」石綿調査が行われなかったことが挙げられます。石綿含有調査者の関与によって居住者や改修・解体時の労働者、周辺住民等の人々の健康を守るという社会的意義があるといえます。石綿含有建材調査者は、石綿調査の専門家として位置づけられ、今後の調査に広く活用されるべきと考え、このたび「石綿含有建材調査者協会(Asbestos Surveyors Association)」を設立しました。

協会として今後の活動は次のように考えています。

石綿含有建材調査者に対して、自ら研鑽を積むこと、現場における調査経験を積むこと、調査結果を正しく発注者に伝えるための能力を向上させること、講習会や研修会を通じてこれらのことを行います。

次に、自治体、建物所有者、建設業関係者、事業者(改修工事・除去工事等)に対して、国家資格に準ずる石綿含有建材調査者を理解し、活用してもらうべく活動します。

また、東日本大震災の教訓から、今後起こりうる東南海トラフや首都直下地震等の大規模災害への備えが喫緊の対応として求められており、協会は国や自治体等、対応を検討している部署への支援が行えるように準備を進めます。
既に石綿の調査が終わっている大規模建物もありますが、クボタショック後の緊急調査であり、十分な(正確な)調査であったとはいえない建物もあります。また小規模建物はまだまだ手が付けられていない状況にあります。
国による石綿調査の専門家認定は、ここに始まったばかりです。当協会が、石綿に関する課題を解決する一助になることを願い、社会的責任を十分に認識して活動を行う所存です。